
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤とは足の血管の病気で、「足の血管がコブになる病気」です。下肢静脈瘤は良性の病気ですので急に悪化したり、命にかかわったりといったことはありませんが、足のだるさや、むくみなどの症状が慢性的に起こるため、生活の質(QOL)を低下させます。初期段階で、ほとんど自覚症状はありませんが放置しておくと徐々に症状は悪化していき、むくみやだるさなどの症状があらわれます。さらに悪化すると、潰瘍や色素沈着を起こす場合もあります。特に高齢女性に多く見られる病気ですが、立ち仕事をしている方や妊娠している方も、なりやすいと言われています。
血管には動脈と静脈の2種類があり、下肢静脈瘤は静脈の病気です。足の静脈の役割は、心臓から足に送られ使い終わった汚れた血液を心臓に戻すことです。重力に逆らって足から心臓に血液を送らないといけないため、静脈の中には“ハ”の字型の弁があり、立っている時に血液が逆流するのを防いでいます。下肢静脈瘤は、この静脈の弁が壊れることによっておこる静脈独特の病気です。弁が壊れてきちんと閉まらないために下流の静脈に血液がたまり、静脈がこぶ(瘤)のようにふくれてしまいます。また、汚れた血液が足にたまるため、むくみやだるさなどの症状が起こります。弁が壊れる原因には遺伝や妊娠・出産、長時間の立ち仕事などがあります。まれに湿疹ができたり、皮膚が破れる潰瘍ができ重症になったりすることがあります。このような方は、できるだけ早くご相談ください。
保存治療のまず第1は下肢挙上です。立ち仕事のときは1時間たっていたら5分から10分間、座ったり、横になって、足を上げて休息をとりましょう。就寝時には足の下に枕や座布団をおいて、心臓より少し足を高くして休んでください。うっ滞性皮膚炎をきたしている場合、怪我などの傷が治りにくくなりますので、引っ掻いたり、傷を作らないように注意しましょう。かゆみを抑える軟膏などを使用するのもひとつです。次にもうひとつ重要な保存治療は、弾性ストッキングの着用です。すでに下肢静脈瘤ができている場合は、下肢静脈瘤治療のための圧迫力の強い医療用弾性ストッキングが推奨されます。弾性ストッキングを選ぶときに大切なことは、医師の指示により、患者様の足にぴったりの適正サイズのものを使用することです。当院では実際に着用を試していただいて、適正なものを準備できるよう、担当スタッフが案内いたします。
硬化剤を静脈瘤内に注入して、瘤を血栓化させてつぶし、最終的には線維化、器質化させて病気の静脈をなくす治療です。細い通常の採血に使う針よりもさらに細い針を使用しますので、痛みも少なく、傷跡も残らず、外来治療で所要時間も正味20分ほどで終了します。本邦で一番効果の高いポリドカノールという薬剤を投与します。比較的太い静脈瘤から、細い網目状静脈瘤までひろく対応可能です。治療後は48時間圧迫包帯を巻きますが、安静は不要、直後から歩行可能で、普通に生活できます。再発予防のため、治療後はしばらく弾性ストッキングの着用をおすすめしています。静脈瘤が太くて範囲が大きい場合には、逆流している静脈を糸でしばる高位結紮術を追加します。逆流の原因となる静脈を局所麻酔で皮膚切開し縛ってしまう治療法です。切開の傷は数cm程度で溶ける糸で埋没縫合しますので抜糸も不要で痕も目立ちません。局所麻酔なので日帰りでできます。
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ご予約
ご予約は、電話かWEB予約から受け付けております。
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問診・視診
症状や、内服しているお薬、生活習慣、お仕事内容についてお伺いします。視診では、患部を見て下肢静脈瘤の進行具合を確認します。
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エコー検査
幹部にゼリーを塗って機械を当てることで血流の流れを確認する検査です。エコー検査は痛みのない検査です。
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術前検査
採血、場合によっては検尿、心電図検査を行います。血液検査結果が出てから治療をします。
※エコー検査は痛くない検査です。
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治療当日
体調の確認をしてから手術着に着替えていただきます。硬化療法は、採血で使うよりも細い針で静脈瘤内に硬化剤を注入し、弾性包帯で血管の壁と壁を圧着し、血流を途絶させる治療です。静脈瘤を細い針で刺すときに軽い痛みがありますが、局所麻酔や全身麻酔などは不要です。治療時間は20~30分程度です。
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術後
弾性包帯を巻いて着替えていただきます。手術後の注意事項を説明させていただきます。2日後にご来院いただき包帯をはずして、あらかじめ採寸注文していた弾性ストッキングに履き替えていただきます。弾性ストッキングの着用のコツなど説明いたします。